6月19日、20日に開催しました「抗カビ方法」の研修会参加者に、事前にカビ拭き取り検査用品「ワイプチェック」をお送りして、調べてみたいカビを採取しお持ちいただきました。
研修会では、そのカビを培養するまでの過程を体験していただきましたが、培養結果が出ましたのでお知らせします。
うまく培養できています。
カビ種は、Penicillium islandicum(ペニシリウム イスランジクム)です。
Penicillium属の中でも顕著な橙色を呈します。
1940年代後半、黄変米事件で有毒カビとして疑われました。
PH5~6(ほぼ中性)で生棲します。
アルカリでは、生棲しません。
中温性(いわゆる常温)で生棲します。
食品(特に穀類)に多く発生、増殖します。
カビ毒のルチオスカイリン、イスランジトキシン、シクロクロロチンを産生します。
このカビ毒は肝硬変、肝がんの発生に関与します。
※もし、水道口の蛇口にフィルターなどがつけてあったり、または浄水器などが
あれば、徹底洗浄か取り外しをご検討下さい。(除去)
このカビは、空中にも多量に飛散しますので、天井、壁、床、木部を
徹底的に洗浄し、現在のカビをリセットしてください。
水分が多すぎたので、上手に培養されていません。
今後は、水を少なめに垂らしてください。
白い筋状のカビが見えます。
カビの種は、Aspergillus terreus(アスペルギルス テレウス)です。
体のアカ、フケ、ハウスダストに生えます。
強力なカビ毒はありません。
しかし多種の代謝産物をつくり出す能力があります。
日和見病原性、特に耳真菌性の病原菌です。(中耳炎など)
PHは5~6弱酸で増殖します。
乾燥していても生えるカビです。
多量の分生子をつくり出すので注意を要します。
壁、天井を6ヵ月~1ヵ年に1度はバイオ洗浄でアルカリ性に保全することが大切です。
今生棲しているテレウスをリセットしてください。
放置すると増え続けます。
良く培養できています。
典型的なAspergillus niger(アスペルギルス・ニガー)です。(クロコウジカビ)
PHは4~6(弱酸か中性)で生育します。
室内が乾燥しても生育は止まりません。(耐乾性があります)
空気中に多量の胞子を産生しますので喘息、気管支炎に要注意です。
繊維、植物、木材、ハウスダスト、ビニールクロスなどによく生えます。
アルカリに弱いカビなので、「Miura-A」「Miura-B」で室内外の洗浄をおこなう必要があります。
洗浄をして、一度カビをリセットしないと6~12カ月毎にカビは更に増殖し続けます。
★「Miura-A」:有用微生物を含有する石けん水
★「Miura-B」:有用微生物由来カビ抑止剤
いずれも特許「抗カビ方法」で使用する洗浄剤です。
良く培養できています。
カビ種は、Epicoccum Purpurascens(エピコッカム パープラスセンス)です。
湿性を好むカビです。
PHは、弱酸、中性、弱アルカリで生育するカビです。
常温で生育します。
健康被害はありません。
湿性食品、植物、空中、木材、飼料などによく生えます。
このカビの被害は、食品を汚染(腐敗)したり、植物を腐敗させます(植物病原性)。
浴室の壁目地やタイルの目地などによく生えることがあり、
お掃除の時は、要注意で、「ホームレメディ」か「Miura-A」で洗浄することが必要です。
アルカリにしておけば、約6ヶ月は生えません。
分離が上手にできています。
Aspergillus Candidus(アスペルギルス キャンディダス) 白色~クリーム色です。
特に健康被害の報告はありませんが、カビ毒のキサントアシン、シトリニンを産生します。
食中毒に注意が必要です。(特にバスタオルからの感染に注意)
乾燥していても生えます。
生理性状は、PH5~6で弱酸性ですから、「ホームレメディ」(PH10くらい)で天井、壁、床、浴槽を
3日に1回くらいしっかり洗浄するのが良いと思います。
アルカリ性には弱いカビなのですが、酸系の洗浄剤を使うと増殖します。